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 原田 知世。 〜まだまだ開かれていない扉がある。〜 

2006年9

 
―つい先日、テレビの深夜放送で、20年以上前に公開された映画が放映されていた。この映画がデビュー作の少女は当時15歳。初々しくも、繊細な中に芯のある存在感を演じ、映画女優としての大きな可能性を示した。

 「私もつい最近、20何年かぶりにこの映画を観たんです。まだ、本当に子どもで、何も分からなかったんですが、監督をはじめスタッフの方々がとても温かくて、伸び伸びとやらせていただきました。いまだに台詞を覚えていたのは、自分でもビックリ」

―大林宣彦監督による『時をかける少女』は今なお高い評価を受け、その後もテレビドラマや映画で何度もリメイクされている名作である。そして、この作品で映画女優としての第一歩を記した原田知世さんは、今でも少女の面影の残る人だった。
 映画女優としての顔だけでなく、90年代から積極的な音楽活動も続けている原田さん。自ら作詞、作曲、編曲などを手がけたアルバムを発表するなど、アーティストとしての才能も高く評価されている。


 「音楽は映画と違って、自分のやりたいことをはっきりと伝えて、自分自身をセルフプロデュースできる楽しさがあります。それに、私の映画を知らない若い方も聴いてくれたりして、長くお仕事をやってると新しいファンの人にも出会えるんだなと思って、また楽しくなっちゃいますね」

―そんな多才な面を見せる原田さんだが、ここ数年はまた映画の仕事が増えている。最新作は、この夏全国で公開される『紙屋悦子の青春』。『父と暮せば』『美しい夏キリシマ』などで平和への願いを訴えた映画監督・黒木和雄さんの遺作となった作品である。

 「最初に本(脚本)を読ませていただいた時から、すごく完成された作品だなと思い、ぜひ演じたいと思いました。カメラがあまり動かず、役者の芝居をじっくり見せる演出は、一つ一つがどれも大切なシーン。特に大きなドラマがあるわけじゃないんですが、独特のテンポでグイグイ物語に引き込まれていくのは、監督の力だと思います」

―原作は長崎出身の劇作家・松田正隆さんによる戯曲で、原田さんの夫役を演じるのは俳優の永瀬正敏さん。ともに九州の出身だが、全編方言で語られる台詞にはかなり苦労したという。

 「長崎出身の私が鹿児島弁で、宮崎出身の永瀬さんが長崎弁。逆だったら良かったのにねって言ってたんですが」

―しかし、方言ならではの味わいが物語に魂を吹き込み戦時下に暮らす人々の心情がリアルに伝わってくる名作だ。

 「最近、また日本映画の元気が良くなっていて、本数もすごく増えているんです。それだけ良い作品に出会えるチャンスも多くなるので、これからも面白い本(脚本)にはどんどん参加して、かかわっていきたいですね」

―映画に、音楽に、独特の存在感を持ちながら、その幅を広げてきた原田さん。15歳でデビューした時に掘り当てられた才能の鉱脈は、まだ決して掘り尽くされたわけではない。

 「まだまだ自分の中に開かれていない扉があるんだ、と思っていたいですね」

文=江月義憲

原田 知世(はらだ ともよ)
  長崎市生まれ。
1982年「角川映画大型新人募集」で特別賞を受賞し、 '83年大林宣彦監督「時をかける少女」で映画デビュー。
'84年「天国に一番近い島」、 '87年「私をスキーを連れてって」などに主演。
最新の主演映画「紙屋悦子の青春」は、 8月から全国で順次公開されている。
 
 
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