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このホームページは車内月刊誌プリーズをもとに制作されています。
伝説の「電線音頭」。 〜小松政夫〜

2005年10

 
―お笑いブームといわれて久しい昨今、テレビでは毎日のようにバラエティー番組が放送され、人気の若手芸人がもてはやされている。しかし、今から約30年前、日本中を笑いの渦に巻き込んだ伝説のバラエティー番組に比べると、いまひとつスケールが小さい感は否めない。当時、日本のどこに行ってもまず知らない人はいなかったであろうコント「電線音頭」。それを演じていたのが小松政夫さんである。

  「電線音頭は、もうヤケのヤンパチだったんですよ。番組の視聴率があまりに悪かったもんだから、プロデューサーからあと3回で終了だと言われてね。それで、伊東四朗さんと『町内演芸大会』なんていうネタをひねり出して、とにかく馬鹿騒ぎをしようと。そこでやったのが電線音頭なんです」

―5%前後で低迷していた視聴率が一気に12%台にはね上がり、さらに翌週には16%台を記録した。番組の大テコ入れを予定してたプロデューサーもやめるにやめれなくなり、やがて日本中を巻き込む大ブームとなった。昭和50年代の初め、テレビがまだお茶の間の主役だった時代である。
  小松さんは生粋の博多っ子。博多の総鎮守といわれる櫛田神社のすぐ隣で生まれた。夏の山笠はもちろん、春のどんたく、秋の放生会と、博多の三大祭りにどっぷり漬かって育った少年時代。テキ屋や大道芸人の口上を真似たり、蓄音機で浪曲をそらんじるほど聞いているうちに、芸の世界が好きで好きでたまらなくなった。


 「最初は役者になりたくてね。親父が死んで大学に行けないってことになったもんで、じゃあ自分の好きなことをやらせてもらおうと、何のツテもなく上京したんです。某新劇の養成所を受けたんですが結局、入学金が払えないってことで断念しまして、しょうがないから東京で働くことにしました」

―いくつかの職を転々としたのち、誘われて自動車販売会社の営業マンに。持ち前のキャラと人当たりの良さで、あれよあれよという間にトップセールスマンになる。

 「小松の芸は面白いって評判になって、毎日のように宴会に引っ張りだこでね。営業の合間にネタを考えていました。給料も当時では破格だったけど、どうしても役者の夢が諦めきれなかった」

―そんな時、当時人気絶頂だったコメディアン植木等氏の付き人兼運転手の公募があった。応募した600人の中から選ばれた1人が小松さん。憧れていた芸能界への道筋が開かれることになる。

 「採用された時は、もう有頂天になって『オレはもうスターになれるんじゃないか』ってね。ところが私が選ばれたのは、車の営業マンだったから身なりはちゃんとしてるし、きちんと喋れるから。別に運転手選ぶのに、面白いかどうか関係ないものね」

―しかし、植木氏は小松さんのセンスをすぐに見抜き、事あるごとに自分が出演する番組に推薦してくれた。そして、4年後にはタレント・小松政夫として独立することになる。その後の活躍は先に紹介したとおり、伊東四朗さんとのコンビで一世を風靡した、同時期に倉本聰さん演出のドラマにも出演。シリアスな役柄もこなして、俳優として高い評価を受ける。最近の活動では、一人芝居シリーズやイッセー尾形さんとの二人芝居などの舞台が話題を集めている。

文=江月義憲

小松政夫
  1942年福岡県福岡市出身。
'61年俳優を目指して上京するが、某新劇養成所の入学金が払えず断念。 役者の道をあきらめ、さまざまな職業を経験した後、 公募で植木等氏の付き人兼運転手として芸能界入りする。
'76年から放送された『みごろ!たべごろ!笑いごろ』の1コーナー 「電線音頭」が大ヒットし、国民的な人気者に。 俳優としても数多くのテレビドラマ、映画、舞台で活躍。 コメディーからシリアスな役柄までこなすエンターティナーである。
 
 
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