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「檀流」旅の楽しみ方。 〜檀 太郎インタビュー〜 2005年2月
 
― 思えば、昨年は「韓流」に明け暮れた一年だった。テレビドラマ「冬ソナ」で火がついたブームは、一説によると日韓両国に3,000億円の経済効果をもたらしたという。今さらながらにメディアの影響は計り知れない。ところがもう40年近く前から韓国、特に「釜山」にはまり、年に数回は通っているという韓国通がいらっしゃる。CMプロデューサーであり、料理や食文化に関する著書も多い檀太郎さんである。

 「釜山はもう、心の故郷と言っていい。仕事や所用で福岡に来るときは必ずパスポートを持参して、1日でも空き時間ができようものなら、すかさずビートルに飛び乗る。日帰りできないことはないけど、さすがにそれはもったいない」

―仕事柄、年中世界を飛び回っている檀さんだが、22歳の時生まれて初めて訪れた海外の街が釜山だった。当時は横浜から貨客船で3日かかったという。

 「それが今では博多港を出て、ビートルで約3時間。つくづく福岡の街は、アジアの玄関なんだね」

―もう数え切れないほど釜山を訪れている達人に、「檀流」旅の楽しみ方を尋ねてみた。

 「僕はいまだに韓国語が苦手なんだけど臆することはなにもない。お腹が空いたら適当な食堂に飛び込んで、人が食べていて美味しそうだと思ったものを指さして注文すればいい。この方法が一番ハズレがない。ただし、韓国の醤油やワサビは日本人の口に合わないと思うから、それだけは注意した方がいいかもしれない。僕の場合は旅先で知り合った人と仲良くなると、何の屈託もなく『今晩泊めてくれる?』なんて言っちゃうんだね。それは寝床を貸してほしいという意味と同時に、台所を貸してくれということでもある。地元の市場で新鮮な食材を買ってきて、料理して一緒に食べる。これが『檀流』」

―作家の一雄氏を父親に持つ檀さんは、東京で生まれて間もなく福岡に移り住んだ。終戦後は福岡県内を転々とし、やがて東京に居を移すことになるが、中学・高校の夏休みは毎年のように福岡で過ごしたという。

 「親戚が多くて、小遣いをくれるからね(笑)。東京から列車を乗り継いで24時間くらいかかったかな。柳川や久留米あたりの川でよく遊んでいたね。当時から九州の開放的な雰囲気が好きだったね」

―釜山のみならず、博多は九州各地への玄関口でもある。九州に友人、知人の多い檀さんは、九州各地へもよく旅をするという。

 「博多を起点にすれば鹿児島へはリレーつばめ・つばめに、大分ならソニックに飛び乗ればいい。本当に便利な場所なんですよ、福岡は」

―博多湾に浮かぶ能古島には、父・一雄氏が『火宅の人』を書き上げた旧宅が今も残っている。

 「65歳までには会社の方もリタイアできるだろうから、その後は博多で年金生活を送りたいね(笑)。今はそのつもりでいますよ」

―能古島の展望台からは、幼い檀さんが両親と一緒に暮らした思い出の地、糸島・小田の浜も一望にできるという。

文=江月義憲

檀 太郎 (だん たろう)
  1943年、作家・檀一雄氏の長男として東京に生まれる。CMプロデューサーとして数々の作品を手掛け、テレビ番組の企画・制作にも携わり、取材や撮影で世界各国を渡り歩く。食に関する執筆活動も続け、著書に『好「食」一代男』、『檀流おかず100選』などがある。
 
 
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